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今回のブログ当番は4班です。
沈黙の世界の中に身を置いて、まだ鳴っていない楽器の音色や倍音を楽譜として創り出せる。
楽譜になった音は決して聞こえることはないのに、鳴り響く音を皮膚感覚としてとらえらる。
彼の体の中は、音ではなく音楽で見たされていたのではと思いました。

-----------上田先生の講義録
芸術の創始:時代を超えて
・・・古典派からの脱却:ベートーヴェン・・・
Beethoven 

✤前回(9/10)から一ヶ月ぶりの「人生の扉」、Kさんのギターお休みで残念でしたが、頑張って歌いました。 英語歌詞の部分は難しそうですが、日本語の部分はハートフルな歌声が聴けました!
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≪19世紀音楽事情≫
今日は、ベートーヴェンの音楽を聴き、彼の人生と主張を追いました。19世紀の音楽は “ロマン派”と呼ばれますが、実のところ19世紀ヨーロッパは革命と紛争に明け暮れ、産業化、都市化が進み、貧困増大、匿名化してゆく大衆社会の中で“近代の疎外”が生じた時代、“ロマンティック”とは言えない時代だったようです。音楽の世界では、コンサート、オペラ、家庭音楽などにおいて、通俗作品の流行と共に名人技への憧れも強まってゆきました。音楽史上ウィーン古典派とされるベートーヴェンは主にこの時期のウィーンにて創作活動を展開したのです。
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≪ ベートーヴェン ≫
L.V.ベートーヴェン(1770-1827)は、ナポレオン(1769-1821)と共に“動乱の時代”を生きました。彼の音楽は古典的スタイルを保持しつつも、旧世界の価値観を蹴破るかのように強固な意志の展開を見せます。彼は「音楽家は貴族と同様或いはそれ以上である」と主張し、彼において音楽は“芸術”になったと言えます。彼以降、音楽創作には強くオリジナリティが求められるようになり、また彼の偉大な作品群は後続の音楽家達にとって乗り越え難い絶壁になってゆくのでした。

∮演奏曲目∮
◇クラヴィア・ソナタ 第14番『幻想曲風に』嬰ハ短調 Op.27-2
第1楽章 Adagio sostenuto・・・「月光」と呼ばれた楽章
第2楽章 Allegretto・・・・・・ベートーヴェン特有のスケルツォ(諧謔曲)
第3楽章 Presto agitato・・・・嵐のような楽章
 1801年作曲のこのソナタは確実にピアノの為に書かれ(タイトルにペダルに関する付記記述)、第1楽章から第3楽章までは序破急の流れを示し、通常のソナタの構成を超える作品となっています。レルシュタープ、ツェルニーの論評から「月光」と呼ばれるようになりましたが、それは作曲者の意図ではなく、当時17歳だったピアノの生徒ジュリエッタ・グチアルディ(不滅の恋人?)に献呈されました。

∮鑑賞CD∮
 Beethoven 弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調Op.59-2 第Ⅰ&Ⅱ楽章
 Beethoven 交響曲 第6番 Op.68 「田園」第Ⅰ章~第Ⅴ章
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 Beethoven 交響曲 第5番 Op.67 「運命」第Ⅰ楽章
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✤ ベートーヴェンの音楽、一般的には”激情”が強調されがちですが、静謐な美しさも多いのです。彼は常に新たな展開を求め続けながらも同時にしっかりした古典的美意識をもって格調ある音楽を残しています。彼の激情の内側に秘められた自然への愛情、平和への祈り・・・なにかと不安定な今の時代だからこそ深く感じられるのではないだろうか・・・そのような思いでピアノを弾き、交響曲を聴いていただきました。

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☆☆☆☆☆ 一口レポートの抜粋 ☆☆☆☆☆

◆先生の「月光」を聞いて、ベートーベンの音楽に対する執念、人生への決意を感じた。やはりベートーベンはすばらしかった。
◆ピアノを弾いてらっしゃる時の先生は大きく見えます。不思議です。心地よく聞くことができました。ありがとうございます。
◆1ヵ月振りの講座、先生のピアノ演奏をきいていると気持ちがシャキッとしたようになる。
◆耳が聞こえなくなるという絶望も彼の溢れ出る才能を止める事が出来なかったのですね。
◆僕の大好きなピアニスト ウィルヘルム・ケンプを思い出しました、素晴らしい演奏でした。
◆僕の大好きなベートーヴェンの「田園」をたっぷり聴けて非常に満足です、これでなくちゃ!
◆先生のピアノ演奏、ベートーヴェンのピアノソナタ月光がすばらしかった。演奏始めの静かな曲で、悲しい思い出がよみがえり、涙が出た。
◆音楽に言葉はいらない。朝からコンサートホールにいるような気分になれた。感謝、田園はいい。

☆☆☆ 上田先生から丁寧な回答とコメントが ☆☆☆

◆19世紀の前葉 演劇、音楽など芸能全般で模倣から創造を意識された時代だったのだろうか。
Ans. 19世紀、貴族社会から市民社会への移行と共に、芸能に携わる人々の経済基盤についても、教会や宮廷から不特定多数の一般市民への移行が始まります。芸術家は自ら作品を世に問わねばなりません。芸能の活動が商いとダイレクトに結びつく時、オリジナリティは不可欠となります。現在の著作権問題ほどではないにせよ、既存の美の踏襲よりも新たな創造に向かう意識が強まったのではないでしょうか。

◆ベートーヴェンはイタリア語を話し、読めたのでしょうか?
Ans.ベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」はドイツ語で書かれています。作品の表情記号について、彼は一旦ドイツ語を試みますが、当時一般的であったイタリア語表記に戻しました。彼の生きた時代、ドイツはヨーロッパの中では未だ田舎、音楽文化の中心はイタリアかフランスだったので、ベートーヴェンも必要に応じて対応可能な程度にはイタリア語も使えたのではないかと思われます。でもどちらかというと不器用なベートーヴェンがイタリア語を流暢に話すところは想像しにくい感ありです。本当のところは分かりません。

Comment 私にとって遠い存在、手の届かない高みの存在で近寄り難かったベートーヴェン、彼の人生と作品について講義を終えましたが、伝えたいことのごく一部しかお話出来なかったという感があります。音楽家の生涯は勿論のこと、社会状況の変化と関連、作品の詳細・・・お話すべきことは山ほどありますが、なにより”音楽”を聴いていただきたいとも思っております。教室で共に聴いてはじめて興味をもてる・・・という方もおられることでしょう。音楽鑑賞に専念したい方もおられる一方、解説を必要とされる方もおられます。鑑賞と解説を重ねない為には、紹介する音楽作品や内容を絞らざるをえませんが、私の中で「聞いて欲しい!」気持ちが勝ってしまって削ることが出来ず、ただただ「もっと時間が欲しい!」と思い続けています。音楽の歴史というスタイルをとっておりますが、その解明を目的とするのではなく、歴史を超えた人の心の機微を音楽を通して共に感じることが出来れば、と願っております。どうか残りの期間お付き合いください。 上田


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