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今回のブログ担当は1班です。
今日は今年度最後の講義でした。
前半は掉尾を飾るにふさわしい重厚な内容でした。
ただ音楽を楽しむだけの私には、
20世紀の歴史から紐解かれる芸術論は
かなり難しく感じましたが、上田先生が仰ろうとされていたことはなんとなく感じ取れたように思います。
後半はガーシュインのDVDを見せて頂きました。
「ラプソディ・イン・ブルー」は大好きな曲で、
繰り返しバックグラウンドミュージックで流されるのがとてもうれしく、
「パリのアメリカ人」、「スワニー」、「サマータイム」など、
子供の頃深夜テレビで見ていた事を懐かしく思い出しました。
白人が作った「黒人オペラ」を演じた黒人たちに、
複雑な心境があったことも初めて知りました。
1年間の授業が今日で終わりというのを不思議に感じます。
まだもっと聞きたい、知りたいこともたくさんあるように思います。
高大の教科を担当されている方々に、
「上田先生の授業は1年完結でなく、2年完結」を検討して下さいと訴えます。

-----------上田先生の講義録
✍ 講義として最終日の今日も「人生の扉」歌いました。ゲスト歌手の先生がおられないと不安があったかもしれませんが、心もこもった歌声こそがなにより、一緒に歌えることこそが最高!です。
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✍ ニーチェの「神は死んだ」に象徴されるごとく、20世紀のヨーロッパには2つの世界大戦に起因する危機的状況が訪れます。社会的・政治的矛盾、経済不安、文明の進歩に対する不信などから、19世紀までのオプティミスムは力を失い、依って立つ基盤を失った芸術は弱体化したとも指摘されます。最先端を突き進んだ前衛アーティストは伝統的な美や価値の破壊へ向かったとさえ言えます。しかし芸術は時代を映し出す鏡なのであり、映し出される本体の矛盾をこそ考えるべきでしょう。
 その「超前衛でなければ創造ではない」とされた破壊的(破滅的?)表現活動は、1960年代後半にはそのピークを超えました。インターネットとスマホによって情報が地球を駆け巡り、AIに席捲を許している2019年現在、その嵐は遙か昔に過ぎ去った事象となったかのように感じられます。
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でも、その嵐は、私達にとって忘れてはならない問題を孕んでいるのではないでしょうか。このような思いから、今日はウィーンの表現主義に始まる“前衛芸術”を紹介し、敢えて、いわゆる”おっかない現代音楽”とされる作品を聴いていただきました。
 <美術>

表現主義 E.ムンク (1863~1944)   「叫び」(1893)
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キュビスム  P.ピカソ (1881~1973)  「ゲルニカ」(1937)
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♠抽象へ
 
W.カンディンスキー (1866~1944) 「コンポジションⅣ」(1911)
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P.モンドリアン (1872~1944)「赤・青・黄のコンポジション」(1930)
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<音楽>
 20世紀の音楽には音の抽象的な操作を物語に優先させる傾向が現れ、時間は短く衝撃はより直接的、即時的になり、解決を要しない不協和音、伝統的不協和音概念の崩壊が起こる。音楽本来の抒情は捨て去られ、抽象的な技法が際立ち、 “情から知へ”の傾向が指摘されます。しかし前衛手法だけが先行する表現は意味を持ち得ないと、私は思います。本日は20世紀作曲家達渾身の作品を選びましたが、何かを感じ取っていただけたでしょうか。
≪鑑賞曲CD ≫
∮ B.バルトーク (1981-1945)   弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽(1936)
∮ A.シェーンベルク (1874-1951)  弦楽六重奏曲「浄められた夜op.4」(1899)
∮ I.ストラヴィンスキー (1882-1971)  バレエ「春の祭典」(1913)
∮ O.メシアン(1908-1992) トゥーランガリラ交響曲 第Ⅰ章
∮ K.ペンデレツキ (1933~)    「広島の犠牲者に捧げる哀歌」(1959~1960)

✍ 授業後半では、一般的に愛された音楽に戻り、久石譲氏のアニメ音楽、
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F.プーランクがシャンソン歌手E.ピアフ
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に捧げた即興曲No.15をピアノで聴いていただきました。
≪演奏曲 ≫ 
∮ 久石譲(1950~) 映画「千と千尋の神隠し(2001)」より 『あの夏へ』 

∮ F.プーランク(1899~1963) 即興曲第15番 ハ短調 (エディット・ピアフを讃えて)

✍ 最後は”古き良き時代のアメリカ”を描くJ.ガーシュインの音楽を、彼のドキュメンタリーDVDを観ながら鑑賞しました。ロシア系ユダヤ人の移民の息子としてニューヨークに生まれ、ポピュラー・クラシックの両面で活躍して時代の寵児となったガーシュイン。そんな彼が短い人生の最後にアメリカの闇を描くことにトライしたオペラ「ポーギーとベス」、みなさま是非通して御覧いただきたく思います。
観賞DVD: 『ジョージ・ガーシュウィン・ストーリー』
ガーシュイン

★ G.ガーシュイン(1898-1937)   「スワニー」(1919)
                       「ラプソディ・イン・ブルー」(1924)
                       「パリのアメリカ人」(1928)
                       オペラ「ボーギーとベス」(1935)
 
 



☆☆☆ 一口レポートの抜粋 ☆☆☆

◆今日が最後の講座です。先生の思いに引き込まれつつの一年ありがとうございました。

◆ピアノのすぐ近くでシャンソン曲に目を閉じて耳を傾けると学生時代に横浜の外人街のジャズバーで楽しんでいた頃を思い出した。曲を聴くとその頃がよみがえるようだ。

◆最後の授業 楽しく過ごしました、音楽を楽しむ科に入って本当に良かったです。一年間有難御座いました。

◆現代音楽は身体が受けつけない。やはり静かで楽しい曲が良い。個人の好みが出るので良いのではないかな。後がガーシュインで良かった。

◆現代音楽は知っているようで、よく知らないと感じました。久石譲さんは、ジプリ音楽で有名ですね。ガーシュインの曲はよく知られていて、スワニーやサマータイムとかとても良いです。

◆最後まで楽しい授業でした。ありがとうございます。




☆☆☆ 上田先生から丁寧な回答&コメントが ☆☆☆

◆今日聞いた音楽はさっぱり解らない…と言ったらお隣の人から「解らなくていい」との解答。納得
Ans. お隣の方、ナイス アドヴァイスです!

◆現代音楽は行く方が分からなくなった、結局 商業資本支配される事となった。
Ans.そのとおり!

◆先生の元ご主人は作曲家志望だったのですか?
Ans.大阪音楽大学にて作曲を専攻していました。

◆前衛音楽を追求した方々の気持ちが少し分かったような気がします。ナチスドイツの迫害が大きな原因なんでしょうか?
Ans.シェーンベルク、ペンデレツキはユダヤ系故の迫害体験が大きな要因であったと考えられるでしょう。

◆格調高い音楽芸術論は、私には少し難しかったです。できるだけ中道を目指す生き方をしたいと思う私は、芸術家向きではありません。
Ans.芸術家(と呼ばれる人達)は特殊な存在なのかも。良い作品を残せなかったらただの奇人ですから。

◆前衛音楽を追求した方々の気持ちが少し分かったような気がします。ナチスドイツの迫害が大きな原因なんでしょうか?
Ans.シェーンベルク、ペンデレツキはユダヤ系故の迫害体験が大きな要因であったと考えられるでしょう。

◆前半の前衛音楽を聴いて不快であったが、後半の久石譲やガーシュインの音楽を聴いて救われた気がした。今後のクラシック音楽において、ベートーベンやモーツァルトの水準を超えるような曲の出現は、無理でしょうか?
Ans.それは今後の世界の状況によるでしょう。経済性最優先&技術先行の現代社会、AIが人に取って代わろうとする時代に、ベートーヴェンを超える精神性が生まれるのか?私は正直疑問です。



Comment.
今日は、不快に響く現代曲にも、其れを生みだす要因に歴史的必然があったという事実を知っていただきたく、敢えて”聴きたくない”と思われる楽曲をも提示しました。最終的には、歳月という自然淘汰を受けて人に愛される作品のみが残ってゆくことでしょうし、私も美しく楽しい音楽の方が好きです。そして美しい自然、美しい心が表現される時代が続くことを心から願っています。でも、その為にこそ世の様々な事象に向き合わなければと思います。明晰な感性を人生の最後まで働かせようではありませんか。「人生の扉」を最後まで歌い続けるように生きたいものですね。上田啓子






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